chapter 5. 「理論とは」 ー体系の章ー

理論

 

理論(りろん|theory、セオリー)とは、命題の体系のことです。

 

例えば…

本書も、ある意味、科学をテーマにした理論です。

 

本書は、科学の基本書であり、科学の理論でもあります。

本書『ファイ』を具体例として、理論についての理解を深めましょう。

イラスト

 

 

 

 

1. 定義

理論2

 

定義(ていぎ|definition)とは、前件と後件が等しくなる命題のことです。

 

定義

 

例えば…

科学(かがく|science、サイエンス)とは、

  1. 定立し、
  2. 帰納・演繹し、
  3. 証明する、

プロセスです。

chapter 1. 「科学とは」 ー論理の章ー

 

科学

 

上の例のように、細分化された一つひとつを、概念(がいねん|concept、コンセプト)と言います。

 

概念同士が結びついて、はじめて命題としての意味を持つのです。

 

まずは、「命題」と「真偽」を、もう少し深く、掘り下げてみます。

 

命題(めいだい|proposition)とは、真偽の判断の対象となるもので、

真偽とは、真と偽であり、

真(しん|True、T)とは、正しいこと、

偽(ぎ|False、F)とは、正しくないことです。

chapter 1. 「科学とは」 ー論理の章ー

 

命題

 

このように、深く掘り下げていくと、本書には、たくさんの隠れた前提があることが分かります。

 

本書では触れていませんが、「正しくない」を、さらに深く掘り下げてみます。

 

正しくないとは、矛盾することであり、

矛盾とは、肯定かつ否定、

否定とは、肯定でないことです。

 

矛盾

 

ここまでが限界です。

 

仮に、「肯定」をこれ以上掘り下げると、

「肯定とは、否定でない」(P)

「否定とは、肯定でない」(Q)

 

PにQを代入すると、

「肯定とは、「肯定でない」でない」(P)

「肯定とは、肯定」(P)

肯定

何も説明していないことになります。

 

一方、QにPを代入しても、

「否定とは、「否定でない」でない」(Q)

「否定とは、否定」(Q)

否定

同様に、何も説明していないことになります。

 

この例では、肯定と否定に、何も説明していない状態が生じていますが、

ある概念をどこまでも掘り下げていくと、必ず、このような状態が生じます。

円環

辞書などでも、ある単語をたどっていくと、このような無限ループがたくさんできています。

 

このように、

本書を含めたすべての理論は、厳密に解すると、内部では何も説明していないのです。

 

では、なぜ私たちは、それをそうだと理解することができるのでしょうか?

 

私たちが、ある概念を理解できるのは、すでにそれよりも深い概念があるからで、そうした概念は、認識(にんしき)によって培われます。

 

  • 外界からの情報を、概念として位置づける
  • 概念同士を位置づける

 

こうしたプロセスを経て、およその概念が蓄積されていきます。

 

そして、こうしたおよその概念を確定させる定立が、定義です。

 

理論の構成は、定義から始まります。

 

「概念は、外界とは結びつかない」

 

例えば…

「直線とは、まっすぐな線」ですが、まっすぐな線かどうかを調べることはできません。

より微視的な視点でみると、どこかで曲がっているかもしれないからです。

そもそも、線というのは、立体ですらないので、現実の空間には存在しません。

 

2. 公理

理論3

 

公理(こうり|axiom)とは、理論の前提となる、定義以外の命題のことです。

 

例えば…

本書は、

  • 「事実」
  • 「同じ原因からは、同じ結果が起こる」(因果律)
  • 「矛盾は、存在しない」(無矛盾律)
  • 「肯定と否定の中間は、存在しない」(排中律)

などの公理を前提としています。

 

公理は、言わば当たり前とされていることなので、通常とは違った公理を取り入れる場合を除き、特に触れないで理論を進めることが多いです。

 

 少ない公理で、多くのことを説明できる理論は、質が高い。

 

3. 定理

理論4

 

定理(ていり|theorem)とは、公理から演繹される、個々の小さな命題のことです。

 

例えば…

本書(chapter 3. 「自己言及のパラドックス」 ーウロボロスの章ー)で紹介した、自己言及の定理は、

 

真理率という概念(定義)を元に、

真理率

chapter 2. 「真理率」 ー真偽の章ー

 

数学に関する公理から、

 

計算(演繹)して、引き出しています。

 

自己言及命題「命題Yは、命題X」という命題Yについて、

真理率についての等式

Y=0.5X+50 (0≦X<100)
Y=0~100 (X=100)

が成り立つ。

自己言及の定理3

chapter 3. 「自己言及のパラドックス」 ーウロボロスの章ー

 

この自己言及の定理から、

ある理論Zが、自己言及命題Yを含むと、

【1】主張Xが、0以上100未満のとき、
Zは、Y(50以上100未満)という”正しくない部分”を含むことになりますし、

【2】主張Xが、100のとき、
Zは、Y(0~100)という”証明できない部分”を含むことになります。

 

 自己言及は、【1】”正しくない部分”、あるいは、【2】”証明できない部分”を生じさせます。

自己言及を避けるためには、主張のループを生じさせない、階層構造を持った理論が望ましいです。

 

次章では、最後の最後に、科学を少し違った視点から捉えてみます。

 

~To be continued next chapter~

 

学問

 chapter 6. 「学問とは」 ー愛智の章ー

 

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